LABS

研究開発

3D Graphics, Rendering & Simulation

UNVELL は、3D の描画エンジンを自社で一から設計し、実装しています。光の物理を計算するパストレーシング、ブラウザで動く WebGL エンジン、iPhone 向けの Metal、Windows・Android・VR 向けの Vulkan まで、同じ考え方のもとで作り分けてきました。

研究の成果は、App Store で配信中の 2 つの自社タイトルのほか、VR 商用プラットフォームやオンライン設計支援ツールへの実装として世に出ています。このページでは、その過程で取り組んできた技術を領域ごとにご紹介します。

4 系統
CPU・WebGL・Metal・Vulkan の描画エンジンを自社で実装
物理ベース
PBR や Path Tracing、光の屈折や大気効果まで計算
軽量化
WebGL やスマートフォンなど、限られた環境でも高画質
2013 年〜
レンダリングの研究を継続

研究領域

製品の開発を通じて取り組んできた技術を、領域ごとにご紹介します。掲載している画像は、すべて自社エンジンが描いた実際の画面です。

Balloon Journey Japan の画面。実測データから再現した田畑と市街地
Balloon Journey Japan の画面。実測データから再現した田畑と市街地
01

実寸の日本を、そのまま 3D に

国土地理院の実測標高データをもとに、山、谷、海岸線、市街地を縮尺そのままで再現します。富士山も黒部峡谷も、現実と同じ大きさ、同じ距離感で目の前に広がります。

  • 日本全国をひと続きの世界として扱い、進む先の地形を先読みして届けるストリーミング
  • 建物、道路、植生まで含めた街並みを、公開されている地理データから再現
  • 視点からの距離に応じて描く量を自動で調整し、スマートフォンでも遠くの稜線まで表示
  • 谷を縫う高速の低空飛行でも、地面との接触を実測データの精度で判定
搭載F-2 MISSIONSBalloon Journey Japan
Balloon Journey Japan の画面。夕暮れの雲海
Balloon Journey Japan の画面。夕暮れの雲海
02

空、雲、天候を物理から描く

空の色は、写真を貼るのではなく、大気の中で光が散乱する様子を計算して描いています。朝焼けから星空まで、時刻と天候に合わせて空と環境光がひと続きに変化します。

  • レイリー散乱とミー散乱の計算による空。同じ計算結果が、反射、環境光、霞の色にもそのまま反映
  • レイマーチングによるボリューム雲。雲の下から雲海の上までを連続して表現し、雲の影が地上に落ちる
  • 日付と場所から天候を生成する仕組み。サーバーと端末が同じ計算で同じ空にたどり着く
  • 星、天の川、月、オーロラを天文計算で配置。夜は月が主光源になり、水面や機体を照らす
搭載Balloon Journey JapanF-2 MISSIONSYotei3D
Yotei3D の画面。ブラウザ上でリアルタイムに描いた海
Yotei3D の画面。ブラウザ上でリアルタイムに描いた海
03

海と水面

波のうねり、空の映り込み、船が残す航跡。光と動きの両方がそろうと、海は本物らしく見えてきます。

  • 複数の波を重ねる Gerstner 波を GPU で計算し、水平線まで続く海を表現
  • 平面反射と環境マップを組み合わせた映り込みと、太陽のきらめき
  • 船体や岸辺が水に触れる位置を画面の奥行き情報から求め、波打ち際の泡と航跡を描画
  • 遠くの波ほど細部を落ち着かせ、水平線近くのちらつきを抑制
搭載Yotei3DF-2 MISSIONSBalloon Journey Japan
Yotei3D の画面。金属度と粗さを段階的に変えた球
Yotei3D の画面。金属度と粗さを段階的に変えた球
04

物理ベースの質感と光

金属は金属らしく、樹脂は樹脂らしく。素材の性質を数値で与えると、どの光の下でも自然に見える描画パイプラインです。

  • GGX マイクロファセットによる物理ベースレンダリング。直接光も環境光も、ひとつの式で一貫して計算
  • 環境マップによるイメージベースドライティングと、球面調和関数によるライトプローブ
  • HDR のリニア空間で計算し、最後に一度だけトーンマッピング。ブルーム、SSAO、光芒などの後処理
  • iPhone や Mac の高輝度ディスプレイの表示余力に合わせた HDR 出力
搭載Yotei3DF-2 MISSIONSBalloon Journey Japan
RayGen によるレンダリング。ガラスの屈折と被写界深度
RayGen によるレンダリング。ガラスの屈折と被写界深度
05

パストレーシング

光の経路を物理法則どおりに追跡して描く、オフラインレンダラーです。ガラスの屈折、やわらかな影、間接光の回り込みが、計算の結果として自然に現れます。C++ で一から実装しています。

  • SAH による BVH の構築で、光線と形状の交差判定を高速化
  • 光源の直接サンプリングと多重重点サンプリング、準モンテカルロ列、適応サンプリングで、限られた計算量でもノイズを低減
  • GGX の異方性反射、屈折と色分散、霧・炎・陽炎などの関与媒質、多角形絞りのボケ
  • 法線と奥行きを手がかりに輪郭を保つ À-Trous ウェーブレットデノイザ
搭載RayGen
F-2 MISSIONS の画面。上高地の谷をコックピット視点で飛行
F-2 MISSIONS の画面。上高地の谷をコックピット視点で飛行
06

飛行シミュレーションと計器

機体の姿勢を直接動かすのではなく、空気の力から運動を求めています。旋回中は操縦桿を引いて高度を保つ、という実機の操縦がそのまま正解になります。

  • 迎角を状態として持つ飛行モデル。失速、G 制限、高度による推力の変化が式から現れる
  • 視点とガラスの位置関係から表示位置を求める HUD と、光学着艦装置のレンズモデル
  • 比例航法による誘導と、高速で動く物体どうしの衝突を軌跡の線分で捉える判定
  • 高度ごとに向きの変わる風と、地形が生む気流を再現した熱気球の飛行モデル
搭載F-2 MISSIONSBalloon Journey Japan
F-2 MISSIONS の画面。阿蘇のカルデラを 5 機編隊で飛行
F-2 MISSIONS の画面。阿蘇のカルデラを 5 機編隊で飛行
07

決定的シミュレーションとサーバー連携

同じ入力からは、どの端末でも同じ結果が出る。この性質を土台に、アプリを閉じている間も世界が進み続ける仕組みを作りました。

  • Mac、Linux、Android でビット単位まで一致する計算結果を、自動テストで常に確認
  • 描画を切り離したシミュレーション本体をサーバーで実行。6 時間分の飛行を 1 秒以内に再現
  • 飛行の全記録を保存し、視点を変えて見直せるリプレイ
  • 毎秒 30 回の位置同期による、最大 16 人のオンライン飛行の通信設計
搭載F-2 MISSIONSBalloon Journey Japan
F-2 MISSIONS の画面。5 万棟を超える建物が並ぶ松島の市街地
F-2 MISSIONS の画面。5 万棟を超える建物が並ぶ松島の市街地
08

計測にもとづく最適化

速さは感覚ではなく数字で確かめます。描画の工程ごとに GPU 時間を測り、効果の大きい箇所から手を入れます。

  • 1,160 万三角形を抱える市街地のシーンを、視野の判定で約 320 万三角形、778 回の描画命令に集約
  • 画面の画素数から描画解像度を自動で決め、機種ごとの性能差を吸収
  • 15 万本を超える樹木のデータを 215MB から 4.9MB へ軽量化
  • 平均フレームレートではなく最悪のフレームを見る計測。VR では 90Hz、1 フレーム 11.1 ミリ秒の予算で管理
搭載F-2 MISSIONSBalloon Journey Japan
Balloon Journey Japan の画面。多数の気球をまとめて描画(開発中の画面)
Balloon Journey Japan の画面。多数の気球をまとめて描画(開発中の画面)
09

マルチプラットフォームのエンジン設計

シミュレーションの本体はひとつ。描画と入力だけを環境ごとに用意する構成で、iPhone から Windows、VR ヘッドセットまで同じ世界を動かします。

  • Metal と Vulkan の両方に対応した描画バックエンドと、OpenXR による VR 表示
  • iOS 版を配信中。Windows、Android、VR 版を開発中
  • 描画の順序を宣言として扱い、順序の誤りをビルドの段階で検出する設計
  • タッチ、ゲームパッド、キーボード、マウスをひとつの画面コードで扱う自社製 UI フレームワーク
  • 描画を切り離して全ロジックを検証する、36 グループの自動回帰テスト
搭載F-2 MISSIONSBalloon Journey Japan

エンジンの系譜

ひとつの研究が、次のエンジンの土台になっています。

  1. 2015 –

    RayGen

    C++ / CPU パストレーシング

    光の物理を正確に計算するオフラインレンダラー。質感と光の基準を確かめる場として、現在も研究を続けています。

  2. 2018 –

    Yotei3D

    TypeScript / WebGL 2

    ブラウザで動くリアルタイム 3D エンジン。大気、ボリューム雲、海、GPU 流体など、新しい描画技術を最初に試す実験場です。

  3. 2026.07

    F-2 MISSIONS

    Swift / Metal・Vulkan・OpenXR

    Yotei3D 上の試作で飛行モデルを検証したうえで、iPhone 向けの専用エンジンを新規に開発。その後、Windows、Android、VR へ展開しています。

  4. 2026.09

    Balloon Journey Japan

    C++20 / Vulkan

    これまでの成果を C++ で再構築したエンジン。日本全国の地形、生成される天候、サーバーで進み続ける飛行を支えています。

研究成果を搭載した製品

F-2 MISSIONS

F-2 MISSIONS

実在の地形を実寸のまま、実機と同じ速度と高度で飛ぶ iOS 向けフライトシミュレーション。

リリース記事を読む
Balloon Journey Japan

Balloon Journey Japan

実在の日本の空を、風を読みながら気球で旅する iOS 向けゲーム。

リリース記事を読む

公開プロジェクト

一部のソースコードは、GitHubで公開しています。

Path Tracing Renderer Engine

Path Tracing Renderer Engine

物理ベースの手法による3Dパストレーシングレンダリングエンジン

See on GitHub
Yotei3D Web 3D Engine

Yotei3D Web 3D Engine

Webで軽快に動作する3Dレンダリングエンジン。3Dの知識が少ない初心者でも扱いやすい直感的なインターフェイス設計。

2D Graphics Rendering Engine

2D Graphics Rendering Engine

ユーザーとのインタラクションを容易に実装可能。シンプルで柔軟なインターフェイス設計。

See on GitHub

3D 技術のご相談を承ります

描画エンジンの設計から、地理データの可視化、シミュレーター、Web やモバイルへの 3D の組み込みまで。研究で培った技術を、お客様の製品や業務に合わせてご提供します。

  • 地形・都市データの 3D 可視化
  • シミュレーター、訓練用ソフトウェア
  • 製品の 3D ビューア、オンラインショールーム
  • 既存システムへの 3D 描画の組み込み
  • モバイル・Web 向けの描画の高速化
出典とクレジット

地形データ出典:国土地理院 標高タイル。建物と道路のデータ:国土交通省 Project PLATEAU、© OpenStreetMap contributors。

This work is based on "USS DWIGHT D.EISENHOWER CVN-69 AIRCRAFT CARRIER" (https://sketchfab.com/3d-models/uss-dwight-deisenhower-cvn-69-aircraft-carrier-f22c344e834f4c3781f676b372a94b2d) by Muhamad Mirza Arrafi (https://sketchfab.com/nazidefenseforceofficial) licensed under CC-BY-4.0 (http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/)

「F-2 MISSIONS」は独立して制作された作品であり、三菱重工業株式会社および政府・防衛関連機関とは一切関係がなく、これらの組織による承認・後援を受けたものではありません。